Viola Dream II

赤穂ウルトラマラソン(第16回): 挑戦記

 昨年の大会では途中で棄権を考えたものの、妻の応援で何とか完走。今
年はその妻も早い時間から応援に来てくれると言うし、食料もたっぷり準備
しており、シューズも新調。昨年の春に患った咳喘息の症状が昨年とちょう
ど同じ時期から出ていることだけが、不安要因でした。
 2012年5月20日、早朝5時。気温は20℃を少し下回るくらいの、薄曇。日中
も23℃ほどであまり暑くはならないとのこと。私には絶好のランニング日和
に思えました。

 これまでの2回のウルトラマラソンの経験から、今回は前半からスピードを
抑えて走り、後半に体力を温存する作戦でした。時速10kmを少し下回る速
度で5km、10kmと周回を重ねました。ペースは計画通りです。ところが、
10kmの手前から、右足の踵に何となく痛みを感じ始めました。新調したとは
言え、練習で30kmほど走ったシューズです。そのうち違和感も消えるだろう
と、あまり気にしないことにしました。しかし、痛みは次第にハッキリしてきま
す。15kmを終えた時点で、シューズを脱いで踵を確認してみました。する
と、もうすでに大きな水ぶくれが。靴擦れでした。慌てて絆創膏で応急措置。
今までに靴擦れを起こしたことの無い部位だったので、驚きました。それで
も、絆創膏を貼ったことで若干の違和感は残ったものの痛みが強くなること
はなく、とりあえず小さなトラブルで済ませることができました。

 やれやれと一息ついたのもつかの間、普段の練習よりもゆっくり走ってい
るにもかかわらず、脚の筋肉が動きにくくなってきたではありませんか。
20kmの時点でふくらはぎと太ももをマッサージしてみたのですが、随分、脚
が冷たくなっているような感じです。朝の涼しい時間帯でしたが、もうかなり
汗をかいており、"寒い"と感じるような状況ではありません。それにしては
脚の冷たさが気になりました。不安は的中、40kmを過ぎたところで、突然、
左足のふくらはぎと太ももの裏側が同時に痙攣。10分以上、その場から動
けなくなってしまいました。ようやく痙攣が治まったものの、少し歩いてみる
と再び筋肉が痙攣し始めます。近くのベンチに座って脚の筋肉をマッサー
ジ。45kmまでの5kmに50分もかかってしまい、意気消沈。

 45kmに到着したのが10時過ぎ。前回より2時間ほど早く、妻が到着してい
ました。妻が持ってきてくれた食事を摂り、脚をマッサージしてもらいました
が、この時点でリタイアはほぼ決定的でした。50-55kmで少しペースを回復
できたものの、55-60kmで再びダウン。この5kmに55分もかかってしまい、リ
タイアを決意。60kmを通過後、リタイアを申告しました。まだ13時を過ぎたば
かり。制限時間まで、まだ6時間近くも残してのリタイア。あまりにも情けない
結果でした。

 今回の私の"装備"は、いつものTシャツ、ランパン、5本指ソックス。これま
でのウルトラマラソンで着用してきたワコールのタイツ(CW-X)は使用しませ
んでした。前回の赤穂ウルトラマラソンでも強い締付け感に堪えられず、途
中で脱ぐことになったからです。ランニングタイツの効能に疑いを持ち始め
ていたばかりか、悪影響さえ感じていました。しかし、今回、両足がひどく痙
攣したことは、ウォーミングアップ不足に加えてランニングタイツを着けなか
ったことで少し脚が冷えてしまったなどの影響があったのかもしれません。

 もう一つ気になったのは、靴擦れです。試走した際には何ら問題の無かっ
たシューズでしたが、本番では10kmも行かないうちから靴擦れを起こしまし
た。シューズに問題があったと言うよりも、私のランニングフォームが崩れて
いたのでしょうか。無理にゆっくり走ろうとしたことがいけなかったのか、朝
早いことでまだ体がちゃんと目覚めていなかったのか。あるいは単に、シュ
ーズの履き方が悪かっただけなのか。

 今回の失敗で、ウェア、シューズ、フォームに至るまで、改めて考えさせら
れました。しかし、情けない話ですが、今回、何が悪くてリタイアになったの
か、現時点では原因を特定することはできそうにありません。逆に、「こうす
れば必ず完走できる」と言った法則の無いことが、ウルトラマラソンの魅力
の一つなのでしょう。

 リタイアした6日後、いつもならウルトラマラソンの翌週は練習を休むので
すが、今回は走ってみることにしました。20km以上を普段とほとんど変わら
ないペースで走ることができました。翌日も15kmほど走ってみましたが、膝
を含めて痛みが出ることもありませんでした。60kmで早々にリタイアしたこと
で、無用なダメージは残らなかったようです。そのことが逆に、最後まで頑
張らなかった(頑張れなかった?)自分に対して怒りを感じさせました。この
借りは必ず返す。前途多難な気もしますが、ウルトラマラソンの魅力に囚わ
れた今の私には、「諦める」ことはできそうにありません。(v^ー゚)

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