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Viola Dream II
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朝2時過ぎに起床。ホテルで借りた電気ポットで湯を沸かし、これもホテル
で借りた茶碗にお湯を入れ、長女が作ってくれた餅を浮かべます。餅が少し 柔らかくなるのを待つ間にインターネットで天気を検索すると、今日は終日 雨の予報。ガッカリしながらお椀に味噌汁の素を加えて朝食。餅を全部で9 個食べてから(一口サイズの小さいヤツです!)入浴。昨日からしっかり食 べたにもかかわらず、起床から1時間半を過ぎてもトイレの気配がありませ ん。諦めてウェアに着替えました。
5時から始まった開会式の中で、ゲストのマラソンランナー千葉真子さんが
異様なまでのハイテンションでスピーチ。それに合わせて気勢を上げる大勢 のランナー。うーん、よく言われることですが、やっぱりウルトラランナーって 変、というより変態か。
きっちり時刻を合わせておいた時計が5時半を回ってもスタートの合図が
なく、周りのランナーも、アレっ?てな感じになってからようやくスタート。「千 葉真子さんがスタート地点の右側にいてハイタッチでランナーを送り出して います!」とのアナウンスがあり、ミーハーではない私ですが、右側に流れ て千葉さんとハイタッチ。
スタートゲートをくぐると狭い道に2千人近いランナーがひしめいており、最
初の5qは自分のペースで走れるはずもなく、ただ流されていくだけ。10q ほど走ってようやくペースを掴んできたと思ったら、右足の付根に違和感 が。マッサージしながら走りましたが、違和感は次第に痛みへと変わってい きます。練習でもこんなところに痛みなんかで出ないよ、ま、そのうち治まる でしょ、なんて思いながら進みます。ほどなく堂が森の峠を登る道になった こともあり、キツイ登りはペースを落としたり歩いてみたりしましたが、右足 の付根の痛みは強まるばかりです。
実は初めて走ったウルトラマラソンが、この四万十川ウルトラマラソンでし
た。今から9年も前のことです。右膝を痛めながらも12時間50分で完走しま した。今回の大会では完走はもちろん、この9年前の自分に勝つこと、そし てできることなら12時間以内の完走が目標でした。四万十川ウルトラマラソ ンには2千人近いランナーが参加しますが、"敵"はいつも1人だけ。辛い、痛 い、もうやめようと泣き言をいう弱い自分だけ。でも、その弱い自分が、応援 してくれる大勢のランナーやボランティアに"勝って"リタイアすることがある のですから。今回はその弱い自分が喜びそうな"言い訳"がいきなり登場、 といったところです。何だか年々、トラブル発生が早くなっているのは気のせ い? それともまさか年のせい?
20q通過は9年前より3分遅れでした。下り坂を飛ばす作戦でしたが、右足
の付根が痛くて、それどころではありません。30qまでの急な下りはそろり そろりと走る感じ。右足をかばって走るので左足の太もも裏も痛くなってきま した。もうこうなるとほとんどやけくそです。もうどうにでもなれっ!と思って 少しペースを上げてみました。40qに到達。9年前に遅れること28分。痛む 右足をマッサージしていると愛知県のランナーがコールドスプレーを貸してく れました。一旦は遠慮したのですが、強く勧められて使わせていただきまし た。これがその後ペースを維持することができた理由の一つだったのかもし れません。さて、40q過ぎに会社の同僚、NKG君が来てくれていました。そ ういえばまだほとんど雨に降られていません。気温も上がってきたので、こ こでタイツを脱ぐことにしました。ちょうどスタートしたばかりの60qの部のラ ンナーが、私を追い抜いて行きます。まだ元気なランナーをペースメーカー にして、痛みに耐えながら走りました。時折雨が降ってきますが、帽子とゴミ 袋製のカッパで十分しのげる程度でした。まるで誰かが空で雨雲を抑えてく れているような、そんな気がしました。 ![]()
賑やかな声が聞こえてきたと思ったら、カヌー館でした。預けておいた荷物
を受け取ると、NKG君が駆け寄ってきます。救護所の椅子を借りて座らせて もらい、右足の付根をアイシング。これが何と気持ち良かったこと! その 上、驚いたことに、NKG君は私の好物のサバ寿司を買ってきてくれていまし た。もう腹ペコだったので、パクパク食べました。ここで時計を見てびっくり! いつの間にか9年前より3分早くなっていました。40qからの20qで大逆 転。改めて、9年前の私に挑戦です。
勇気凛凛で再スタートしたものの、流石にそう簡単にはいきません。足の
痛みは耐え難く、マッサージの回数を増やしてもまたすぐに痛みが限界に 達します。71qの関門を過ぎたところで、ゴールまでの30qがひどく遠く感じ られました。沿道のたくさんの応援が無かったら、諦めて歩いていたかもし れません。途切れることのない声援のおかげで、私は走り続けることができ ました。14時35分、79.5qの関門を通過。9年前より32分早いタイムです。あ れ、待てよ。17時半まであと約3時間。時速7qで走れば12時間以内に完走 できるってこと? すっかり諦めていた12時間完走の背中が見えてきた気が しました。
さあ、ここからは1q走るたびに時計を見て、自分の走る速度を確認です。
1qを7分半ほどで走っていました。7分半って時速何キロ? 情けないこと に、疲労でぼんやりした頭ではいくら考えても計算ができません。数学は得 意なはずなんですが…。仕方がないので、とにかく休まず走ることにしまし た。とは言っても、足の痛みも体力も限界に近付いています。沿道の「もう少 し、あと少しだよ!」の声に押されるように前進。16時28分、最後の関門を 通過。あと約6q。時折、雨が強く降ってきましたが、もうお構いなし。95q …、96q…、97q…、98q…。「あと300メートル!」の声に、あれっ、99qの 看板は? 県立中村高校の裏門で、ゴールまで本当にあと200mしかないこ とを確認。ここでゴミ袋製のカッパを脱ぎ、右足を軽くマッサージ。ゴールの 瞬間をちゃんと撮影してもらえるよう、ランナーの間合いを計った上でラスト ラン。11時間48分36秒。今回は笑顔でのゴールです。 ![]()
NKG君から「余裕でしたね!」と言われましたが、いやいや本当にもう限界
でしたよ。9年前の自分に勝てたこと、その9年前、お世話になったtndさん に、「次回は明るい内に帰ってきますから!」と約束したのを果たせたことが 嬉しかったですね。ほぼ12時間と言うタイムは決して速いわけではありませ んが、今の自分の精一杯かなと思います。全力で今できることをする、新し くできることを増やす。これはこれからも続けていきたいと思います。
今回もたくさんの人にお世話になりました。大会を支えてくださったボラン
ティアの皆さん、沿道で応援してくださった地元の皆さん、40qでコールドス プレーを使わせてくださった愛知県の男性ランナー、本当にありがとうござ いました。週末の練習で汗だくになったウェアの洗濯と毎日の食事に気を使 ってくれた妻、練習後のマッサージと大会当日の朝食のアイデア(お餅in味 噌汁)をくれた長女にも感謝です。そして今回は、休日にもかかわらず応援 に来てくれたNKG君にSpecial Thanks !です。ありがとう!!
下の写真は左から、今回履いたシューズ(MIZUNO WAVE AMULET 7
WIDE)、参加賞のTシャツ、完走メダルです。メダルは四万十川のSあるいは 川の流れをイメージしたものでしょうか、とても素敵なデザインです。 ![]() ![]()
https://ss295031.stars.ne.jp/
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