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Viola Dream II
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午前1時起床。前日は19時に就寝したので、途中何度か目が覚めたもの
の6時間寝たことになります。妻が作ってくれた餅を2個と前日に買ったバナ ナ1本が朝食(夜食?)。前日の夕食を18時までに済ませておいたので、トイ レもスムーズ。少しゆっくり風呂に入ってからランニングウェアに着替えて、2 時半にホテルをチェックアウト。
北上駅前からバスに乗って北上総合運動公園には3時に到着。4時のスタ
ートまでの間は少々暇を持て余しましたが、軽いストレッチや脚のマッサー ジをしながら室内で待機。20分前にスタート地点へ移動。かなり寒かったの でいつもの「ゴミ袋カッパ」を着用です。
午前4時、もうかなり明るくなった東の空に細くたなびく茜色の雲を見なが
ら、いわて銀河100qチャレンジマラソンが始まりました。
今回の大会は北上市から雫石町へと"北上"する「銀河コース」と呼ばれた
13回大会までのコースではなく、北上市から奥州市と金ヶ崎町を通って再び 北上市へ戻る「代替コース」です。事前に公表された高低図を見ると比較的 平坦で走りやすい印象でしたので、自己ベストの更新を目論んでいました。 更新できればご褒美にデジタルカメラを買い換えようと。それと何よりも、金 曜の夕方、早めに帰宅する私に会社の若い女性から、「頑張ってください ね! でも、もう年なのであまり無理はしないように!」ってなことを言われ て、よーし、絶対記録更新してびっくりさせてやろう、と思っていたのです。
とは言え、心配なことが二つ。一つ目は天気です。数日前まで「曇り」だっ
た天気予報が「晴れ」になっており、気温もそれなりに上がりそうでした。北 上総合運動公園を出て、近くの池を周るように走っていると、4:21、今日初 めての太陽が目に入りました。あまり暑くなりませんように、と心の中でお願 いします。
もう一つの心配は、1年半ほど前から痛めている左足付け根と太腿裏。ス
タート時から、すでに時折痺れるような痛みがありました。これはしかし、年 齢とは関係ない。練習で痛めたんだからと自分に言い聞かせながら、それ でもこれ以上痛みが強くなりませんようにと祈るしかありません。
最初の25qほどは1キロ6分弱、30qくらいのところで想定外に上り坂があ
って若干ペースダウン。それでも40qをほぼ4時間で通過。左足の痛みがず っと続いていたので、今回は20qぐらいから気分が沈みがち。久しぶりに、 100qが果てしなく長い距離に思えてきました。そんな時。42qのエイドで、 「まだ40qだよ!」と応援して下さった男性に、思わず、「もう60qしか残って ないんですよ!」と笑顔で返すと、大笑いされました。これが良かったよう で、気分が一新。そうそう、60q超えるまでは前菜、オードブル。ウルトラマ ラソンは60qからが本番、メインだよってことを思い出し、一人クスクス笑っ て元気が出てきました。
そうは言っても徐々に強くなる日差し。35qから続く登り坂。60qまでの"
前菜"で大幅にペースダウン。50qにレストステーションがある(実際は60 q)と勘違いしていたことの精神的ダメージも大きく、胆沢ダム近くのレスト ステーションに着いた時にはもうヨレヨレでした。
ここで預けていた荷物を受け取ったのですが、ボランティアの女子学生
(盛岡医療福祉専門学校?)がダッシュで荷物を持ってきてくれたことに感 激! 日陰の小さな階段に座ってゼリー飲料2個、ライトミールを食べてから エイドのおにぎりやバナナも食べました。ここで再び気合を入れなおし、いよ いよウルトラマラソンの本番開始、です。
昼前になって強さを増す太陽に照らされる緩やかなアップダウンのある道
を走ります。この部分の約10qは折り返しコースになっているのですが、2 度ランナーを応援できるためなのか、沿道には応援の人が多くしかも異様 にハイテンションの若い女性が目立ちました。気分的には一番辛い時間帯・ 距離でもあるので、応援は本当に力になりました。
午後になって気温も上がってきた上に70-80qは日陰が少なくて、汗が止
まりません。エイドでペットボトルに補給してもらった水を口に含みゆっくりと 飲む、これを何度繰り返したことか。いろいろ考えたこともあり、今回の給水 は水を中心にしました。コカ・コーラ等の炭酸水は一切飲まず、スポーツドリ ンクも5q毎のエイドだけにし、後は水。これが良かったのか、70qあたりか らふくらはぎや膝の周りが何度か痙攣の兆候を示したものの、一度も攣るこ とがありませんでした。
ただ、食べる量が少なかったのか何となく力が入らず、おまけにどういうわ
けか膝が痛くなってしまい、80-90qは平坦な道でもかなり歩いてしまいまし た。こんな時に助けになったのが私設エイド。一人で出している人もいまし たが、とにかく準備してくださっているモノが良い! 炊き立てのご飯とみそ 汁、凍らせたイチゴ、ミニトマト等々。その都度、手を合わせて拝みたくなる ほど感謝!でした。
さて、80qを越えたのが13時過ぎ。スタートからすでに9時間。どうも記録
更新が難しくなってきました。千貫石森林公園に入ると心が折れそうになる くらいの急な登り坂。当然走れるはずもなく、むしろ堂々と歩けることに感謝 したいくらいでした。左足付け根と太腿裏の痛みは増々辛く、何度も軽いス トレッチを繰り返しながら進みます。85qで突然目の前が開けて壮大な北上 の景色が広がりました。絶景かな! 感動もつかの間、今度は急な下り坂 で膝の痛みが倍増。
もうあと10qと少しだというのに、どうにもまともに走れません。少し走る、
歩いて水を口に含む。また走る。これの繰り返し。千貫石森林公園を出てか ら東へ向かう道は、嫌になるほど一直線、ずっとずうっとまっすぐな道。14時 を過ぎても空に雲は少なく、道路の両脇にそびえる防風林はかなりの高さも あるのですが、太陽は背後にあって日陰はゼロ。その内、防風林の内側に 何となく見たことのある建物や畑が。岩手県立農業大学校でした。2000年 からの5年ほどの間、仕事で大変お世話になった場所です。あの頃の私に は、まさか20年近くたった今、自分の足で走るなんて想像もできませんでし たが。
ようやくたどり着いた92.1qのエイド。このままのペースだと12時間をオー
バーするかも。カメラ買替はもう絶望的。おまけに、記録更新しか考えてい なかった私は帰りの列車を予約済みでした。ヤバいよ、新幹線に間に合わ ないと困るでしょ。何としてもせめて12時間以内に完走しなければ! 膝に 少し痛みがあったものの、いつものようにボロボロになっているわけでもな く、まだ余力があるはずの私。あと8q。なんだよこんな距離。ちゃんと走 れ。もう1回、気合を入れ直しです。
それまでは時間の経つのが恐ろしくゆっくりだったのに、今度はどんどん
時間が過ぎていく気がします。何度も何度も時計を見ました。急げ、頑張 れ、もう少し! やっと遠くから歓声が聞こえてきてゴールが近いことを確信 しましたが、やっぱり足に力が入りません。
競技場に誘導されて広い運動場の縁を回り、スタンドの横を抜けるとゴー
ルが見えてきました。オールウェザーのゴムのトラックを情けないくらいトロ トロしたスピードで走りました。やっとの思いでゴール! 11時間52分、自己 記録から遅れること約8分。学生ボランティアが完走メダルを首に掛けてくれ ました。
完走証をもらい、預けた荷物を受け取りに行くと、ここでも学生ボランティ
アがダッシュで届けてくれました。「お疲れさまでした!」っと、元気な声&ぺ こりと丁寧なお辞儀。疲れていてかすれ声でしか返せませんでしたが、心か らありがとうと言えました。
食券をもらって食べた具沢山の豚汁と小さな粽2個は、疲れ果てた身体に
浸み込むようなおいしさ。大急ぎで食べたらすぐに着替え。シャワーは混ん でいたので濡らしたタオルで汗と泥にまみれた体を拭いて、会場の隅っこで ちゃちゃっと着替えました。痛む足を引きずりながら北上行のバス乗り場 へ。北上駅で妻に完走の報告電話。母の故郷、岩手県でのウルトラマラソ ンは自己ベスト更新こそ叶いませんでしたが、晴天時ベストタイムを出して 終わりました。 ![]()
下段左の写真は今回履いたシューズ、ミズノのWAVE AERO 16 WIDEで
す。昨年も同じシューズでチャレンジ富士五湖を完走しています。真ん中が 参加賞のTシャツ。右端が完走メダル。南部鉄器なのでしょうか、簡素なデ ザインですが重厚・素朴で良い印象です。 ![]() ![]()
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