Viola Dream II

水都大阪ウルトラマラニック(第16回): 完走記




 大会の前日、私と妻は弟の車でお墓参り。その後、1年ぶりに三兄弟が揃
っての昼食。お互いの近況を話しました。13時半からの両親の法要には、
福岡市から長男、大阪市内から長女も参加。法要後に、明日の水都大阪
100qウルトラマラニックの応援に来てくれる長女と打合せ。待ち合せ場所
や時間を確認し、持って来てもらうコールドスプレーやライト、栄養ドリンクや
軽食を渡しました。阪急梅田駅で妻と長女を見送ってから、私は大阪城公
園までの4qをお散歩。明日の大会前の準備運動です。ホテルでチェックイ
ンを済ませてから大阪城公園内の会場へ行って受付。その後にコンビニで
夕食と明日の朝食を購入。今回は全く緊張感が無いように思えたのです
が、21時に寝ようとして全く眠れず。やっぱり興奮状態にあるんだなと認識
し、22時半までTVを見てボンヤリ過ごしました。ようやく眠れたのは23時
前。
 目が覚めると3時過ぎでした。4時起床の予定でしたが、もう眠くなかった
ので起きて朝食&入浴。そして両足裏のマメや靴擦れができるところへ丁
寧にテーピング。今回の装備は、ランニングシューズがこれまで3大会を完
走して靴底がすり減ったミズノのWAVE AERO 16 WIDE、ソックスは足裏や
踵がすっかり薄くなって一度引退させたR&LのTRR-30G、下着も練習で使
用して“大事なところ”に穴が開きそうなボクサーパンツで、いずれも今回の
大会で完走したら今度こそ引退するものばかりです。最後までこき使うと言
うのか、有終の美を飾らせると言うべきか。
 話は3か月ほど前に遡りますが、1月末のある夜、右膝を深く曲げると強い
痛みを感じました。思い当たる原因も無く、数日で治ると思っていたのです
が2週間経っても回復しません。整形外科で診てもらうと、半月板損傷。走っ
ても良いか医師に訊くと、「痛みが無ければOKだが、断裂したら膝がロック
して動かなくなるからね」と言われました。練習で18q走っても特に痛みが
出ることも無いし、何よりも水都大阪100qウルトラマラニックに参加申し込
み済みだったので、出走を決意しました。そんなこともあって、途中で右膝
が痛くなった時、ビビッてリタイアすることの無いようにこれまで頑張ってくれ
たシューズやソックス、下着に「有終の美を飾らせる」と言う大義を立てたの
です。
 5時半にホテルを出て、5:50から大会実行委員長の佐田さんが、大阪人ら
しく面白おかしい説明で参加ランナーを笑わせてくれました。私は6時スター
トの最初の組で走り始めました。今回の大会には偶然、会社の同僚である
IWSさんも参加。IWSさんは昨年もこの大会の70qの部に出走しており、7時
間で完走した強者です。IWSさんは淀川河川敷までの約10qを一緒に走っ
てくれて、その間、いろいろなことを教えてくれました。さて、河川敷の手前で
IWSさんには先に行ってもらい、私はそれまで通り1キロ6分弱のペースを維
持。34.6qの豊里大橋エイドまでほぼ予定通り進みました。ここで少しペー
スダウン。豊里大橋エイドと毛馬エイドの間の菅原城北大橋で、長女に応援
してもらうことになっていたためです。長女は10時には行くと言っていました
が、私が菅原城北大橋を通過したのが9時半過ぎ。まだ長女は来ていませ
んでした。このまま毛馬エイドで折り返して戻って来た時、もし長女が少し遅
れて来たなら次に私が菅原城北大橋に戻ってくるのは13時過ぎになるでし
ょう。これは困る…。少し疲れが出てきたこともあり、積極的なペースダウン
です。
 幸い長女は約束通り10時少し前に来てくれたようで、10:20頃、私が毛馬
折返しから菅原城北大橋に戻って来ると、手を振って迎えてくれました。ポ
ケットの補給食は予定通り空になっており、長女から補給を受けました。41.
2q(下の写真、左側)。不安だった右膝は、とりあえずまだ大丈夫そうで
す。「次帰って来るまで長いよー、3時間くらいかかるよー」と言い残して出
発。
 
 長女の前では元気そうに振舞っていましたが、膝をかばって走ったのが悪
かったのか、30q過ぎから両足の脛の下、足首の上あたりに強い痛みが出
ていました。この影響で40q過ぎから急激にペースダウン。再び菅原城北
大橋に戻ってきたのは13時半前。63.5qを走破。前半の貯金があったので
ギリギリ12時間完走ペースですが、走り続けることが難しい状態になってお
り、少し走っては早歩きの繰返し。右膝には軽い痛みがあるものの、直近の
3年間は25-45qで痛みが出て走れなくなった左膝にも強い痛みは無し。に
もかかわらず、足に力が入りません。この時はよくわからなかったのです
が、どうもエネルギー不足になっていたようです。この数年、体重管理を重
視し過ぎるあまり、100q走るための“蓄え”を軽視してしまっていたようで
す。これまでは膝の痛みがちゃんと走れない要因だったので、食事への意
識が低くなっていました。今回はフラットなコースで膝への負担が少なく、根
本的な体作りをおろそかにした結果を目の当たりにすることになりました。
 さて、長女は10時半に私と別れた後、城北公園近くのスーパー(食品館ア
プロ中宮店)へ食料の買い出しに行ってくれたようです。私がかなりのダメ
ージを抱えて2回目の補給を受けた時、長女は鉄火巻き、鯖寿司、巻寿司、
稲荷寿司、カステラ等、いろいろ出してくれました。走りながらなのでこんな
に食えんぞ!と言うと、長女は私が食べなかったものは自分のお昼ご飯に
するから、と。長女は外見からは想像できないくらいの大食いなので、まあ
納得…。とりあえず大好きな鯖寿司を1個。これは個包装になっており、ポケ
ットに入れることもできましたが、さすがに寿司を30分以上体温で温めて食
べるのは衛生上如何なものかと思い断念。その場で食べました。その他の
ものも一気に口に入れてすぐに走り出したのですが、1qも走らない内に、
少々お腹が苦しくなりました。それもあって1時間後に毛馬エイドから戻って
来た時は(上の写真、右側)、菓子類とミニトマトだけポケットに満載で行くこ
とに。あと31.5q。「今度はもっと遅いでー」と言い残して出発。3周目、最後
の一往復です。
 水都大阪100qウルトラマラニックは大阪城公園がスタート・ゴールです
が、淀川の約27qのコースを3往復します。片道13.6qに4つの公式エイドと
5-6か所の私設エイド(もっとあったのかも…)がありますが、駐車場や駅か
らの距離のこともあるのでしょう、豊里大橋エイドと鳥飼エイドの間の約4.5
qには、エイドがありません。正直、ここが一番苦しかった…。ここを乗り切
るために、豊里大橋エイドと鳥飼エイドでは確実に補給しておく必要があり
ます。豊里大橋エイドではたこやき、鳥飼エイドではそうめんに助けられまし
た。私設エイドにも大変お世話になりました。正確な場所を覚えていません
が、鳥飼エイドと新橋エイドの間の、焼肉と餃子はもっと食べておけば良か
った。“変な人たち”のエイドも毎回ピットインさせていただきました。冷たい
水や夏みかん(だったかな)で生き返りました。先に書いたように、今回は膝
のダメージが少なかった分、レース前の食事とレース中の補給の大切さを
再認識しました。
 さて、68.5qで長女に手を振った3時間後。90.7q。菅原城北大橋での最
後の補給。右膝は80q過ぎから痛みが増してきました。あと10qを切ってい
ますが、もう両膝ともに力が入りません。何か食べなければと思ったのです
が食欲がなく、コールドスプレーで両方の膝を十分に冷やしてからカステラ
を1つ食べて立ち上がります。残りのミニトマトを全てポケットに詰め込み、
膝の状態を考えて「ゴールは19時過ぎになると思う!」と伝えて出発。長女
はJR城北公園通駅から列車で大阪城公園へ。
 毛馬エイドで最終チェック=ゼッケンに5か所分のチェックポイントでのマー
クが記されているか、の後、マイボトルに水を補給。大阪城まで約7q。陽が
沈んでだんだん暗くなってきます。ランナーがほとんどいないので、心細い
こと! 来た時の記憶を頼りに川沿いの道を辿ります。要所には路面にピン
ク色の矢印でコースが示してあるのですが、疲れた頭と目には見落とす可
能性もあります。「ホントにこっちでイイの???」と思いながら前進。大阪
城公園が近くなる頃には、かなり暗くなっていました。誘導の人が持つ赤色
ライトが見えると、心の底からホッとしました。大阪城公園の手前で最後の
給水。あと2q。規模の大きな大会だと、ゴールの明かりやアナウンスに声
援も聞こえてくる距離ですが、何も見えず何も聞こえず…。「どこ? ゴー
ル、どこ?」 ひょっとしてゴール直前で迷子?とも思いましたが、最後の
(後でわかった)赤色ライトの誘導を左に曲がるとすぐ向こうにゴールが見え
ました。十数人の応援の中、ラストラン。ゴール10m手前くらいに長女の姿
が。長女も私に気が付きましたが、カメラを準備しておらずあたふたしている
様子。もう膝が限界で余裕のない私は、そのまま長女の前を通過して19:
03、100q完走です。
   
 写真はWEBページからダウンロードさせていただきました。プロカメラマン
撮影の『お高い』写真ではありませんが、記念には十分です。このサービス
は本当に嬉しいですね。右の写真は、完走後に長女が撮影したものです。
 首に完走タオルを掛けていただき、水のペットボトルを1本、記録証と完走
メダルをもらってから、ゴール裏で預けた荷物を受け取りました。長女も合
流。「何か食べる?」と言われましたが、疲労困憊で無理…。大阪市内に住
む長女は明日の仕事のため、公園出口でお別れです。私は徒歩で、前日宿
泊させていただいた東横INN大阪谷四交差点へ。預けた荷物を受け取り、
多目的トイレで着替えさせていただきました。その後は京都市伏見区にある
妻の実家へ。21時半過ぎに到着。豚汁を食べてから入浴したのですが、湯
に浸かって「イタタタタッ…!」 太腿から下が日焼けで真っ赤になっていま
した。朝から曇りで気温も高くなく、夕方になって少し陽が差してきたくらいだ
と思っていたのですが…。
 完走メダルは大阪らしくド派手な金ピカで、七色の首掛けリボン。参加賞
のTシャツは、うーん背中の広告がちょっと…。薄手で着心地は良さそうで
す。今回履いたシューズは、ミズノのWAVE AERO 16 WIDEです。このシュー
ズは、2022年5月の野辺山ウルトラマラソン、2019年6月のいわて銀河100q
チャレンジマラソン、2018年4月のチャレンジ富士五湖ウルトラマラソンに続
いて4回目の完走です。踵の底がひどい状態になってしまい、今回の大会で
引退。4回の完走、本当にありがとう!
 大会運営の皆様、施設エイドの皆様、河川敷で応援してくれた人にも感謝
です。せっかくの日曜日に半日付き合ってくれた長女にも、Special
Thanks!です。
 のん、ありやと。
     


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